市販薬は、薬局のなかでも安全な側にあるように感じられます。処方箋は要らず、箱は棚に並び、パッケージも明るい印象です。だからこそ、間違いは起こりやすくなります。誰も確認してくれず、その場では間違いだと感じないことがほとんどだからです。
この記事では、何度も繰り返されるいくつかの間違いを取り上げます。箱に書かれたラベルや薬剤師との相談に代わるものではなく、用量はあえて示していません。用量はラベルが基準であり、ラベルはあなたが買った製品のために書かれているからです。
間違い1:同じ有効成分を2回飲んでしまう
これがいちばん大きな間違いです。市販薬の多くは配合剤です。「日中用の風邪・インフルエンザ」のカプセルには、鎮痛薬、うっ血除去薬、咳止めが1つに入っていることがあります。「夜用」には眠くなる抗ヒスタミン薬が加わります。別の頭痛薬の錠剤にも、そのどちらかと同じ鎮痛薬が入っているかもしれません。
風邪の症状にはカプセルを、頭痛には頭痛薬の錠剤を飲むと、どちらの箱の用法も守っているのに、ある成分を知らないうちに2倍摂ってしまうことがあります。
FDA(米国食品医薬品局)は、主な例としてacetaminophen(英国など多くの国ではparacetamolと呼ばれます)を挙げています。処方薬と市販薬を合わせて何百もの製品に含まれており、acetaminophenを含む製品を同時に2つ以上飲むと、うっかり摂りすぎやすいと注意を促しています。acetaminophenを摂りすぎると、重い肝障害を起こすことがあります。米国の製品パッケージの警告にもはっきりそう書かれており、アルコールがさらにリスクを高めることも記されています。
防ぐには:
- 商品名ではなく、有効成分(Active Ingredients)の欄を読みましょう。米国の製品では、Drug Factsラベルの最初の欄にあります。商品名は症状(「副鼻腔」「インフルエンザ」「PM」)を表しているだけで、実際に何を飲むのかは有効成分の一覧に書かれています。
- 新しく買った製品だけでなく、使っているものすべてを確認しましょう。処方された薬も含みます。処方薬の鎮痛薬のなかにも、acetaminophenを含むものがあります。
- 「多症状に対応」をうたう製品には慎重になりましょう。症状が1つだけなら、成分が1つの製品のほうが、重複を避けやすいことがよくあります。どれが合うかは薬剤師に尋ねてください。
- 迷ったら、2つの箱を持って薬局のカウンターへ。「一緒に飲んでも大丈夫ですか?」という質問には、薬剤師が30秒ほどで答えてくれます。喜んで答えてくれる質問です。
間違い2:ラベルの上限を超えてしまう
市販薬のラベルには、たいてい2つの別々の制限が書かれています。次に飲むまでにあける間隔と、24時間あたりの上限量です。多くの人は前者を覚えていて、後者を忘れがちです。
この2つは、必ずしも一致しません。「4時間ごと」とあり、同時に「24時間で4回まで」とあるラベルは、間隔だけから考えるより少ない回数しか認めていません。4時間ごとの頓服の記事で、間隔と1日の上限の関係と、24時間が午前0時から午前0時ではなく、そのつど数え直す24時間である理由を解説しています。
気づかないうちに上限を超えてしまいがちなパターンをいくつか紹介します。
- 「効かないから、もう1回飲もう」。前の薬がまだ効いていないからと早めに飲むのが、間隔が守られなくなる典型的な流れです。ラベルの用量で症状が抑えられないときは、量を増やすのではなく、薬剤師や医師に相談してください。
- 複数の人が1人に飲ませる場合。パートナーが午前2時に1錠渡し、あなたは覚えておらず午前5時にもう1錠飲んでしまう、といった具合です。服用は書き留めるか、全員が使う記録を1つだけ用意しましょう。
- 夜間の服用を見失う。夜間の服用は、翌朝になると誰も覚えていないものです。
次にいつ飲めるのか分からないときは、次回服用時刻の計算ツールが便利です。前回の服用時刻とラベルに書かれた間隔を入力すると、次に飲める最も早い時刻を表示します。ラベルから読み取った数字をもとに計算するだけで、製品が何であるかは把握していません。
間違い3:計量器具を間違える
液剤は容量で服用量が決まっており、台所のスプーンは計量器具ではありません。食器棚の「小さじ」は、ラベルが意味する計量された量より、はっきり多かったり少なかったりすることがあります。
箱に入っていたカップ、シリンジ、スプーンを使い、その瓶と一緒に保管してください。ほかの製品の計量器具とは互換性がなく、ある薬用のカップは別の薬とは目盛りが違うことがあります。年齢や体重によって量が決まるラベルもあるため、特に子ども用の薬では大切です。
間違い4:誰も見直さないまま続く長期使用
市販薬のラベルの多くには「使用を中止し、医師に相談する場合」の欄があり、医師の助言なしに連続して使ってよい日数の上限が書かれていることも少なくありません。この欄は読み飛ばされがちです。そこに当てはまる頃には、すでに何週間も飲んでいて、日課の一部になっているからです。
見直されないままの長期使用には、2つの問題があります。
- その薬が、対処すべき問題を覆い隠しているかもしれません。何か月も続く毎晩の胸やけ、ほぼ毎日の頭痛、睡眠改善薬がないと眠れない状態。どれも、箱を買い足すだけでなく、きちんと診てもらう価値があります。
- 服薬リストに載らなくなります。医師は新しい薬を処方するとき、あなたが飲んでいると伝えた薬と照らし合わせて確認します。毎日飲んでいる市販薬がリストになければ、その確認の対象になりません。
薬局の棚で買った薬がいつの間にか毎日の薬になっているなら、ほかの薬と同じように扱ってください。リストに書き加え、次の受診で伝え、今もそれが適切な選択か尋ねてみましょう。
間違い5:誰のための製品かを忘れる
市販薬のラベルには、特定の対象に向けた警告がよく書かれています。一定の年齢未満の子ども、妊娠中や授乳中の人、高齢者、肝臓・腎臓・心臓の病気、高血圧、緑内障などがある人です。これらの警告は「使用しないこと(Do not use)」と「使用前に医師に相談すること(Ask a doctor before use)」の欄にあります。
家のなかの大人の1人には問題ない製品でも、別の人には合わないことがあります。大人用の製品は、ラベルに書かれていない限り子どもに与えてはいけません。子ども用の製品は、理由があって別の処方で作られ、別の表示になっています。
間違い6:記録を何も残さない
市販薬はほとんど記録されません。処方箋もなく、薬局の記録もなく、決まったスケジュールもないことが多いからです。頭痛のために1回飲む程度なら、それで構いません。しかし風邪で数日間、複数の製品を飲むときや、頓服のはずの薬がいつの間にか毎日の服用になっているときは、そうはいきません。
何をいつ飲んだかを簡単に記録しておくと、ここまでの問題の大半は解決します。重複して飲んでいないか、1日の上限にどのくらい近いか、どのくらいの期間使っているかが分かります。紙でも構いませんし、スマートフォンのメモでも構いません。
すでにDozを処方薬に使っているなら、定期的に飲む市販薬も一緒に追加できます。専用のリマインダーが設定でき、薬が残っているうちに補充のリマインダーが届き、リストにも載ります。ただしDozは、製品どうしの相互作用や成分の重複を確認しません。有効成分を読んで薬剤師に尋ねることは、これまでどおりあなたの役目です。
よくある質問
2つの風邪薬に同じ成分が入っているかどうかは、どうすれば分かりますか?
商品名ではなく、それぞれのラベルの有効成分(Active Ingredients)の欄を比べてください。米国の製品では、Drug Factsラベルの最初の欄にあります。同じ成分が両方に載っていれば、2倍の量を飲むことになるかもしれません。分からないときは、一緒に飲む前に2つの箱を薬剤師に見せてください。
なぜacetaminophenはよく取り上げられるのですか?
非常に多くの製品に含まれているからです。FDAは、Paracetamolが処方薬と市販薬を合わせて何百もの医薬品に含まれており、風邪、インフルエンザ、睡眠関連の多くの製品も含まれること、摂りすぎると重い肝障害を起こすことがあることを指摘しています。うっかり重複しやすく、しかも重大になりうるのです。Paracetamolは同じ成分の別名です。
市販薬を毎日飲んでも安全ですか?
市販薬には、継続して使うことを想定したものと、短期間だけ使うことを想定したものがあります。どちらなのかは、ラベルの用法と「使用を中止し、医師に相談すること」の欄に書かれています。ラベルで認められている期間を超えて毎日必要だと感じたら、自己判断で続けず、医師または薬剤師にご相談ください。
飲みすぎたかもしれないときは、どうすればよいですか?
症状が出るのを待たないでください。米国では、Poison Control(中毒相談窓口)の1-800-222-1222に電話するか、オンラインツールを利用してください。英国では111に電話してください。具合がとても悪い、意識がない、呼吸が苦しそうといった場合は、救急サービスに連絡してください。何をどれだけ飲んだかを正確に伝えられるよう、箱を手元に置いておきましょう。
2つの薬の飲み合わせが悪いかどうか、Dozで分かりますか?
いいえ。Dozはリマインダーと記録のためのアプリです。追加した製品どうしの相互作用や成分の重複は確認しません。服用の時間をお知らせし、残りの数を示した補充のリマインダーを送ることはできますが、2つの製品を一緒に使ってよいかどうかは、薬剤師に尋ねることです。
まずはここから
次に薬局の棚から箱を手に取ったら、開ける前に裏返して、有効成分を読んでください。そして、その週に飲んでいるほかのすべての薬と照らし合わせてください。この習慣ひとつで、この記事に挙げた市販薬で最も多い間違いを防げます。今、定期的に飲んでいるものは、薬のリストに加えておきましょう。あなたの薬を確認する医師や薬剤師が、全体を見られるようになります。