処方箋はラテン語由来の略語で書かれることが多く、しかもほとんど説明がありません。BID、TID、QID、PRN、q6hは、誰もが知っているかのように処方に登場します。薬剤師は薬袋の表示をわかりやすい言葉に直してくれますが、退院時の書類、印刷物、患者ポータル、診察後のメモには、いまもこれらの略語が残っています。
このガイドでは、よく使われる処方略語の意味、実際の時間間隔、そして誤投与を招くほど危険で病院での使用が避けられる略語をまとめます。
服用回数の略語
どれくらいの頻度で飲むかを示します。多くはラテン語由来なので、英単語とは文字が一致しません。
| 略語 | ラテン語 | わかりやすい意味 | 1日の服用回数 |
|---|---|---|---|
| QD(避ける) | quaque die | 1日1回 | 1 |
| BID、BD | bis in die | 1日2回 | 2 |
| TID、TDS | ter in die, ter die sumendum | 1日3回 | 3 |
| QID、QDS | quater in die, quater die sumendum | 1日4回 | 4 |
| QHS、HS(避ける) | quaque hora somni | 就寝前 | 1 |
| QOD(避ける) | quaque altera die | 1日おき | 平均½回 |
米国ではBID・TID・QIDが一般的で、英国ではBD・TDS・QDSが一般的です。意味は同じです。
BID・TID・QIDは厳密な間隔ではない
ここを取り違える人が多いポイントです。「1日2回」は自動的に「12時間ごと」ではありません。「1日3回」も自動的に「8時間ごと」ではありません。「1日3回」と書かれたラベルは、起きている時間帯に3回、多くの場合は食事の前後に分ける意味です。「8時間ごと」は、夜間も含めて時計どおりに固定の間隔を守る意味です。
多くの薬ではこの違いは大きな問題になりません。一部の抗生物質などでは違いがあり、だからこそ処方医は一方の書き方を選びます。詳しくは8時間ごとと1日3回の違い、1日2回と12時間ごとの違いにまとめています。起きている時間帯での服用時刻が知りたいときは、1日○回のスケジュールで日中に割り振れます。
間隔の略語:q4h、q6h、q8h
小文字のqに数字とhが続く表記は「○時間ごと」を意味します。quaque(「毎〜」)に由来します。
| 略語 | 意味 | 1日の回数 | 間隔(時間) |
|---|---|---|---|
| q4h | 4時間ごと | 6 | 4 |
| q6h | 6時間ごと | 4 | 6 |
| q8h | 8時間ごと | 3 | 8 |
| q12h | 12時間ごと | 2 | 12 |
| q24h | 24時間ごと | 1 | 24 |
これらは厳密な間隔です。朝8時開始のq6hなら、8:00、14:00、20:00、2:00となり、深夜2時の服用も指示の一部であって誤りではありません。服用間隔計算ツールは開始時刻から各時刻を出し、時間間隔と1日回数の換算ツールは双方向に換算できます(5時間ごとや7時間ごとなど割り切れない間隔も含みます)。
q4–6h(4〜6時間ごと)のような範囲表記も見ます。小さい方が最短で空けてよい間隔です。範囲と1日の上限がどう組み合わさるかは、頓服で4時間ごと・上限ありで詳しく説明しています。
PRNとタイミングの言葉
PRNはpro re nata、「必要が生じたときに」です。スケジュールどおりではなく、必要なときに飲みます。PRNの指示には、最短の間隔と、多くの場合24時間あたりの上限回数が必ず付くはずです。ない場合は、頼る前に薬剤師に上限を確認してください。次の服用時刻計算ツールは、ラベル上で次に飲んでよい時刻を出します。
タイミングの略語は、服用を食事や睡眠に結びつけます。
| 略語 | ラテン語 | 意味 |
|---|---|---|
| AC | ante cibum | 食前。通常は空腹時で、食事の30〜60分前が一般的です。ラベルの文言に従ってください。 |
| PC | post cibum | 食後 |
| HS(避ける) | hora somni | 就寝前 |
| QHS | quaque hora somni | 毎晩、就寝前 |
| QAM / QPM | 毎朝 / 毎晩 | |
| STAT | statim | 直ちに。主に病院で使う言葉です。 |
投与経路の略語もあります。薬をどう入れるかを示します。
| 略語 | 意味 |
|---|---|
| PO(per os) | 経口(口から) |
| SL | 舌下(舌の下) |
| IM / IV / SC または SQ | 筋肉内 / 静脈内 / 皮下 |
| OD / OS / OU | 右眼 / 左眼 / 両眼。互いに、また耳の略語と取り違えやすいため、誤りやすい略語のリストにも載っています。 |
病院で使わないよう指示されている略語
米国の病院を認定するJoint Commissionは、実際の投薬ミスを招いた略語の公式な「Do Not Use(使用禁止)」リストを維持しています。認定施設は、指示や投薬関連の文書からこれらを外すことが求められます。リストは短いです。
| 使わない | 誤りやすい理由 | 代わりに書く |
|---|---|---|
| U、IU | Uが0や4に、IUがIVや10に読まれる | 「units」「international units」 |
| QD、Q.D. | QID(1日4回)と混同される | 「daily」 |
| QOD、Q.O.D. | QDやQIDと混同される | 「every other day」 |
| 末尾のゼロ(5.0 mg) | 小数点が落ち、50 mgと読まれる | 5 mg |
| 先頭のゼロなし(.5 mg) | 小数点が落ち、5 mgと読まれる | 0.5 mg |
| MS、MSO4、MgSO4 | Morphineと硫酸マグネシウムが混同される | 薬の正式名称を書く |
ゼロに関する2つのルールは、10倍の差につながる点を押さえてください。「.5 mg」で小数点を見落とすと、用量が10倍になります。だから、よく書かれた処方は必ず0.5と書き、5.0とは書きません。
Institute for Safe Medication Practices(ISMP)は、誤りやすい略語のより長いリストを維持し、使用を避けるよう推奨しています。例としてHS(「半量」と「就寝前」の両方に読める)や、上記の眼・耳の略語があります。
あなたにとっての意味
処方箋を書き直す必要はありませんが、次の2つの習慣が役立ちます。
- QDやQODを見かけたら確認する。退院サマリーや手書きメモでは、「1日1回」のQDと「1日4回」のQIDは、にじんだだけで区別がつきにくくなります。薬剤師に確認してください。
- 小数点を丁寧に読む。ゼロの数がおかしく見える、または小数点の前にゼロがない用量なら、聞いてください。30秒で済み、薬剤師が歓迎する種類の質問です。
指示文(「sig」)の読み方
薬剤師は指示の行をsigと呼びます。signa(「ラベルに書け」)に由来します。断片をつなぐと、sigは一文のように読めます。
| Sig | わかりやすい英語 |
|---|---|
| 1 tab PO BID | 経口で1錠を1日2回 |
| 2 gtt OU TID | 両眼に2滴を1日3回(gttはguttae、滴) |
| 1–2 tabs PO q4–6h PRN pain, max 8/24h | 痛みがあるときに経口で1〜2錠を4〜6時間ごと、24時間で最大8錠まで |
| 1 cap PO QHS | 就寝前に経口でカプセル1個 |
持ち帰った薬袋がわかりやすい言葉になっているのは、こうした行から翻訳された結果です。わかりやすい表示と医師の説明が食い違うときは、薬剤師が原本を見てどちらが正しいか教えてくれます。
ラベルをリマインダーにする
略語の意味がわかっても、残る課題は毎日、正しい時刻に実行することです。電話のアラームに「TID」と書いてもあまり役に立ちません。朝食・昼食・夕食に紐づけた3つのアラームの方が役立ちます。
Dozは、こうした用途向けの無料のiPhone服薬リマインダーです。薬ごとに時刻を入れるか、朝食・昼食・夕食に紐づけると、服用時間が来たらお知らせします。1日おきや服用・休薬の周期など、毎日ではないスケジュールにも対応し、ボトルが切れる前にアプリ内で残りわずかを知らせます。Doz Proでは重大な通知により、消音モード中でもリマインダーが鳴らせるので、q8hの夜間服用に役立ちます。
よくある質問
処方箋のBIDとは何ですか?
BIDは1日2回を意味し、ラテン語bis in dieに由来します。多くの場合、厳密な12時間ごとではなく、朝と晩、しばしば食事と一緒の服用を指します。タイミングが重要な薬なら、処方には通常「every 12 hours」や「q12h」と書かれます。英国では同じ指示をBDと書きます。
TIDとq8hの違いは何ですか?
TIDは1日3回で、通常は起きている時間帯に分けます。q8hは8時間ごとで、朝に始めれば夜間に1回入ります。どちらも1日3回ですが、間隔が違います。ラベルにq8hとあれば間隔を守り、時刻をずらす前に薬剤師に相談してください。
PRNとは何ですか?
PRNは「必要なときに」を意味し、ラテン語pro re nataに由来します。決まったスケジュールではなく、症状があるときに飲みます。PRNの指示には服用間の最短間隔と、多くの場合24時間あたりの上限回数が付くはずです。ない場合は、薬剤師に上限を確認してください。
なぜQDはDo Not Useリストに入っているのですか?
1日1回を意味するQDは、特に手書きのとき、1日4回のQIDと誤読されてきました。1回が4回になります。Joint Commissionは公式のDo Not Useリストに載せ、認定を受けた米国の病院は代わりに「daily」と書くことが求められます。1日おきのQODも同じ理由でリストに入っています。
q6hとは何ですか?
q6hは6時間ごと、つまり1日4回です。qはラテン語quaque(「毎〜」)、hは時間です。厳密な間隔で、朝8時開始なら服用は8:00、14:00、20:00、2:00です。
要点まとめ
処方の略語は小さな語彙です。BID・TID・QIDは起きている時間帯での1日2回・3回・4回が一般的です。q6hとq8hは厳密な間隔です。PRNは上限付きの頓服です。QD、QOD、末尾のゼロ、先頭ゼロの欠落はいずれも誤りを招くリストに載っているので、見かけたら確認してください。略語が何であれ、調剤した薬剤師は原本の処方箋を読んで説明できます。